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日本の少子化への進展は、他の多くの先進国の中でも深刻です。
厚生労働省によると、2007年の出生数は109万人で、2006年の109万2674人より3000人減と推計されています。出生率(人口千対)は8.6となり、こちらも2006年の8.7を下回る見込みです。
急速な少子化の背景として、
が、挙げられます。
1999年、男女共同参画社会基本法が公布・施行され、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」の実現に向けて取り組んできました。また、男女共同参画社会実現の為に2001年、内閣府に男女共同参画局も設立され、さらに取組みを強化させてきたわけです。福田康夫総理大臣自身、第2次森内閣の時代から小泉内閣の期間に男女共同参画担当大臣も経験し、現在も男女共同参画社会の実現に向けて熱心な姿勢を見せていることからも、今後日本でも男女共同の社会が進んでいくと思われます。
政府が少子化の現状と対策をまとめた平成19年度版「少子化白書」では、女性の約7割が妊娠・出産を機に退職している現状に触れています。また、出産等を機に家庭に入った彼女たち(特に大学・大学院卒の高学歴女性)が30代後半になっても再就職しないことが女性労働力減少のひとつの要因になっていることを問題視しています。つまり、日本企業では、出産後に同じ職場に復帰する事はまだごく稀なのです。
「家庭は女性が守るもの」という強い固定観念が残る日本社会では、必然的に男性がその分の仕事を負担しなければなりません。仕事か家庭かの二者択一ではなく、男性・女性の双方が両立しどちらも充実させていく方法を考え、実行していくのが急務なのです。未婚者の大半がいずれ結婚したいと考えていることからも、彼らが結婚した後、いかに仕事と家庭を両立し、充実させるかが重要な鍵と言えます。
対策として、内閣府男女共同参画府では、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を訴え、「女性が安心して結婚、出産し、男女ともに仕事も家庭も大事にしながら働き続けることができる仕組み」作りに取り組んでいます。
少子化が進む日本では、今後労働力不足が企業主の悩みの種となるでしょう。
また、労働力とともに消費力の減少も懸念されており、人口の減少は消費需要を中心とする国内市場を縮小させ、経済成長を妨げることになるのです。
このまま女性労働力を活用できなければ、日本の経済の回復は難しく、さらに、日本の人口が減り続けることになれば日本の国力弱体化の問題にもなります。
女性・男性の問題という殻を破り、もっと大きな視点から、日本全体の問題であることを認識する必要があると思います。
企業の現状今後日本の企業は、企業独自の力で育児休業等により休職する社員が復帰するという問題に対して、解決努力を迫られるでしょう。今、企業が働く女性が出産と育児を行なえる環境を整えていかなければならない時代へと変化しています。また、女性の仕事と家庭の両立への取組みだけではなく、「ワークライフバランス」つまり、仕事と仕事以外の生活のバランスをとることで、やりたいこと・やらなければならないことを実現できる新しいワークスタイルへの関心も高まっています。このようなワークスタイルや家庭生活への関わり方についての希望や考え方は、女性だけではなく男性にも変化が見られます。
とは言うものの、依然として性別役割分担の意識が強く残り、「女性は家庭を守り、男性はその分働かなければならない」という固定観念から抜け出せていないのも事実です。このような考えに固執せず、選択肢を増やし両立していく柔軟な道を示すことが、今企業に求められています。
少子高齢化の進展による労働力不足対策としても、女性労働力の活用は大きなテーマの一つと言えます。優秀な女性社員ほど、企業が女性社員の将来のことを考えてくれていることを重要視する傾向にあり、復帰支援制度や職場環境の充実は企業を選択する上で大きなウエイトを占めることになります。
また、採用活動においても、特に女性社員採用時に強いアピールポイントになり、優秀な人材確保にもつながることが期待できます。
このような環境を整え男女共同参画社会を実現するために、企業すなはち事業主の果たす役割は非常に大きいのです。
企業内の女性の現状は企業規模や業種、女性社員の数、そして何よりその企業の考えや方針により取り組み姿勢は大きく異なります。積極的に取り組んでいる企業がある一方で、多くの企業の女性支援環境は厳しく、出産前後での離職が暗黙の了解とされている場合もあります。
男女共同参画白書(平成19年度版)によると、残念なことに出産前後を超えて就業を継続している女性の割合は増えていないことが分かっています。
最近では、育児休業の取得率だけを取り上げて、育児支援がうまくいっている、いっていないと評価する傾向が見られますが、そもそも育児取得率のパーセンテージは出産を機に離職した女性を除いた数であるため、全体から見ると実は取得者数はごくわずかにすぎません。
育児取得率を取り上げるだけではなく、全体のワークスタイルや家庭責任のあり方を考え、総合的な視点で制度を捉えていくことが求められています。
1980年代以降、イギリスやアメリカをはじめ欧米各国において「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」への取組みが進められてきました。「ワークライフバランス」とは、仕事と生活の調和をとることで、労働者が仕事上の責任を果たすと同時に、仕事以外でもやりたいこと・やるべきことを実現できる状態のことです。
イギリスにおける最も特徴的な動きは、ブレア首相による2000年3月から5年間を期限として大々的に実施された「ワークライフバランス・キャンペーン」です。そして、同キャンペーンの主軸とも言えるのが、「チャレンジ基金(The Challenge Fund)」と言えます。これは、ワークライフバランス施策の導入を検討する事業主に対して無料コンサルティングの機会を与える制度のことで、各企業の実状に合う最適なワークライフバランス施策の導入を期待することができます。
イギリス政府は、ワークライフバランスの実現によって経営上のメリットが得られることを事業主へ示し、これに関心を持った特に大企業事業主の存在が契機となりワークライフバランスの考え方が普及した上、自主的な取組みを促すこともつながりました。
また、背景として、労働需要が逼迫したため人材の確保や定着率を上げたいと企業側が考えたことや、共働き世代の増加によりニーズが高まってきたことなどから、フレックスタイム・在宅勤務・ジョブシェアリングといった働く場所や時間に拘束されない柔軟な働き方を導入する必要性・合理性が認識され始めたと考えられています。
このようにイギリスで積極的に取り組まれ始めたワークライフバランスですが、導入によって、従業員の態度や意欲の面に良い影響を与えるということが明らかにされており、ワークライフバランスの意義が広く理解されているものといえるでしょう。
なお、イギリス政府は、ワークライフバランスを「年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任・欲求とをうまく調和させられるような生活リズムを見つけられるように、働き方を調整すること」と定義しています。
アメリカの場合は、元々「ファミリーフレンドリープログラム」への取組みから始まりました。これは、ワーキングマザーが仕事と育児を両立しながら、仕事で能力を発揮できるようにするためにの施策で、保育サポートが中心でした。その内容をより充実させ、仕事と生活の調和に関する幅広いニーズに対応できるようにとワークライフバランスへの取組みが展開されています。
アメリカでは、家庭は個人の領域との考え方から、政府や自治体の介入は少なく、生産性の向上や人材確保の観点から企業が独自にワークライフバランスに取り組んでいるケースが多いのが現状です。
なお、アメリカでのワークライフバランスについて次のように定義されています。
「仕事と生活の調和とは、広義では、『企業における政策、プログラム、サービス、姿勢のうち、仕事、家庭そして個人生活の効果的な管理を通じて、従業員の幸福を増すためのもの』を言う。しかしながら、具体的には、仕事と生活の調和とは実生活についてのものである。以下、仕事と生活の調和について、より深い意味や価値の理解に資するための短い定義を掲げる。」
ドイツでは、従来、高い失業率への対策として、労働時間や働き方の見直しが進められてきました。雇用創出を目的として、ジョブシェアリングやパートタイム労働が推進されており、企業における柔軟な働き方の導入や取組みがかなり進んでいます。
ドイツの特徴は、ワークライフバランスの必要性を国力強化の視点から考えているところです。その背景としては、日本と同じく深刻な少子高齢化の進展が挙げられ、合計特殊出生率の低下により労働人口がますます減少すれば経済力の低下も避けられないとの懸念から、ワークライフバランス施策への関心がさらに強まっていると言えます。
また、「子育ては、母親が自宅で行なうべきもの」という根強く残る社会観念に対しても、ドイツの国力強化のためには、男性・女性共に仕事と生活の調和の実現ができる「家族に優しい環境が必須である」と中立的な制度の普及に努めています。
2003年夏からは、「家族・シニア・女性・青少年のための省」(BMFSFJ) が主体となって、「企業における家族に優しい環境づくり」を推進するための取り組みを積極的に行っています。主要テーマは、①企業文化の改革(家族に優しい組織、労働時間、人材育成)、②女性の社会進出(特に管理職)、③家族支援のためのサービス(自治体や企業、団体の先進事例の調査分析)等です。さらに、「家族に優しい企業」を表彰するコンクールも開催されています。
フランスでは、北欧諸国同様に「家族に対する手厚い経済的支援」と「働く母親へのサービス提供」などの家族政策に力を入れてきました。
大きな特徴は、家族給付制度において対象の範囲が広く、原則として外国人であっても居住者は受給可能なこと、そして「家族」のとらえ方が柔軟なことが挙げられます。対象となる「家族」には、男女が結婚によって築く伝統的家族モデル以外にも、非婚カップル、別居カップル、離婚、再婚家庭、ひとり親家庭、同性カップルなどが含まれています。
こうした取組みの下、子育てや家庭と仕事の選択は個人が自由に行うべきであり、そのための環境づくりが重要であるという認識が広まりをみせ、仕事と生活の調和を実現させる両立支援は、政策課題としても重視されています。
【ノルウェー】
ノルウェーでは「パパ・クオータ制度」というものを1993年より導入しています。これは、父親のみが取得可能な休暇で、当初は4週間でしたが現在は6週間に延長されました。またこの期間、母親が仕事に戻る必要はなく、両親が同時に育児休業を取得できるようになっています。
女性のほとんどが仕事を持つノルウェーでは、元々育児休業制度は早い段階で制度化されていました。しかし、制度を利用するのは女性ばかりで、出生率も低下している状態だったため、父親にも育児参加を促し育児の喜びを感じてもらう目的で、「パパ・クオータ制が導入されました。
この制度により、1993年に導入されて以降、父親の育児休暇取得率は導入前の約4%から大幅に増加し約90%にまで達し、出生率も増加しました。
また、父親と母親の両方に対して、出産前の給料の80%を手当てとして最長54週間、もしくは出産前の給料の100%を手当てとして44週間受取ることができるようになっています。経済的にも、精神的にも心強い支援と言えます。